リーダーの仕事とは何か? – 連載「プロジェクトとはRPGである」ep.7

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前回までの記事で、勇者達はようやく少しずつ冒険を進めることができるようになりました。役割分担についてはお互い共有できるようになったものの、それだけではチームはうまく動きません。

実際のスタートアップやプロジェクトでも、仕事の割り振りと役割分担だけではチームはうまく機能せず、ただの分業になって有機的にひとつの目標を追いかけることができなくなってしまいます。

どうすればチームを一つにまとめていくことができるのか?

その時リーダーは何をすべきか?

 

今回のテーマは「リーダーシップとは何か」についてです。

 

目次

  • リーダーは誰でもなれる
  • リーダーがやるべきことはこれだけ
  • 良いリーダーを作るために周りがやらなくてはいけないこと

 

 

リーダーは誰でもなれる

リーダーシップ、つまり「リーダーとは何か」を語る時、よくあるのが「リーダーは持って生まれたカリスマがないとなれない」というような誤解です。もし持って生まれたカリスマがないとリーダーになれないのだとしたら、そうした人達はどの時代でも一定数しかいないので、成功するプロジェクトや起業を増やしたりすることは不可能でしょう。

しかし、実際にはリーダーは育てることが可能ですし、逆に環境によっては芽を潰してしまうこともあります

 

そのことを証明している組織として、アメリカ軍が挙げられます。アメリカ軍には予備役を含めて約300万人がおり、また日々変化する国際情勢に合わせて適切な組織活動を行わなければなりません。そのため、士官学校などでリーダーシップを教えることで、現場を担うリーダーを育成しているのです。リーダーシップ教育なくしては、アメリカ軍は成立しないと言ってもいいでしょう。

しかし、日本ではマネージャー教育はあってもリーダーシップ教育というのはほとんど馴染みがなく、「リーダーを育成する」ということについてほとんどの企業がどうやったらいいのかが分かっていないというのが現状です。

転職やフリーランスが多く雇用の流動性が高いIT業界では、リーダークラスの人材は非常に貴重で「お金を積んでも来てくれない」という状況なのです。

 

しかし、本当にリーダーを育成することが可能なら、企業の競争力を大幅に上げたり、成功するスタートアップを増やして社会を豊かにすることが可能でしょう。

そんなことが本当に可能なのか?

はい、それは可能です。

 

 

リーダーがやるべきことはこれだけ

リーダーを育成するには、まず「リーダーは何をやらなくてはいけないか」を正確に把握しなくてはなりません。

では、リーダーがやらなければならないことは何か。それは下記の1点に尽きます。

  • 全体を見渡して状況を把握し、チーム全体で必要な対策を講じること

 

例えば、サッカーであれば試合の流れやチームメンバーの状態、能力を確認して必要な采配を行って勝つことですし、企業の経営者なら業界の動向や資産状況、社員の行動などを把握して必要な経営方針を打ち出して利益を上げることです。

軍隊の指揮官なら、敵の動きや物資の状況などを確認して自分の部隊に的確な指示を出して相手に勝ったり部下の命を守ることですし、船長なら航路と燃料、船員の状態を確認して運行して目的地に到着することです。

またシステム開発などのプロジェクトリーダーなら、限られた予算とメンバーでプロジェクトの質と予算と納期を達成することですし、スタートアップの経営者ならプロジェクトを成功させつつ、そこで大きな利益を得たり社会的なインパクトを与えることです。

これらの役割を一言で言うと「目的に必要な全体最適を行うこと」ですが、それは口で言うほど簡単なことではありません。

 

「仕事ができる優秀な人」が組織内で評価を受けてリーダーに抜擢されることはよくあることですが、自分の業務を最適化できる人が組織やプロジェクトの全体最適もできるとは限らないのです。

「あの人は個人で仕事すれば優秀だけど、上に立つと全然ダメなんだよね」という事例はどこの組織でもよくあることなのです。

例えば、優秀なエンジニアがプロジェクトリーダーに抜擢されて、開発の部分はよく理解していてツッコミも鋭いのだけど、デザイナーや営業など、それまでやっていなかった領域についてはさっぱり理解できず、勉強の仕方もよく分からなくて他領域のメンバーとうまく信頼関係を作れずに挫折する、みたいな話は本当によく見かけます。

他にも、リーダーになった途端に「偉くなった」と勘違いして、部下に仕事を丸投げして自分は会社の偉い人に媚びを売るばかり、という例もよくあります。さらに、メンバーに仕事を任せることをせず、個別最適のやり方を全体に適用して、全ての事柄についてリーダーが直接口を出すというマイクロマネジメントに走ってしまうパターンもあります。

どのパターンもチームとしては機能しないため、中長期的にプロジェクトとして成功することは稀ですが、こうした失敗例が世の中に多いのは、やはり「リーダーがやるべきこと」が多くの人に理解されていないからなのです。

リーダー、つまり全体の最適化をする人を増やす上でリーダーになる人自身の理解も重要ですが、実はあまり一般に認識されていないのが「周囲の人の理解」の重要性です。

 

 

良いリーダーを作るために周りがやらなければいけないこと

世の中にリーダーが少ないのは、リーダーがやらなければならないことはシンプルなものの、それを実行するには多くの困難が伴うという理由によるものです。リーダーの役割を与えられた人は、大きな目標に伴うプレッシャーと全体最適の難しさ、周囲の無理解に傷つき、人知れず挫折していくことが多いのです。

 

世の中に変革を行うリーダーを望む人は多いものの、では実際にこうしたリーダーやリーダー見習い達をサポートしている人がどれだけいるかというと、実際のところはかなり少ないのが現状ではないでしょうか。

例えば、「お前はこれをやれ」と社員にリーダーとして大きな役割と責任を与える組織は多いものの、その人がリーダーとして必要だと判断した社内調整などに協力的な組織がどれだけあるかというと、実際のところはかなり少ないでしょう。

リーダーの仕事は「全体最適」なので、目標を達成するのに必要なことが組織でできていないのなら、組織のほうを変える協力をするのが役割を与えた側の責任でもあります。しかし、その部分が意識されることは多くはないのです。

 

また、リーダーの判断に文句を言うメンバーはよくいますが、ではそうした人達が適切な協力をできているかというと、ほとんどできていなかったりします。愚痴を言う人ほど、チームで実力を発揮できていないものなのです。

当たり前の話ですが、リーダーも普通の人なので、限界もあれば判断も間違えます。それをメンバーでサポートしていくことが最終的な利益に繋がることを理解するのがとても重要なのです。

 

では、メンバーとしてリーダーに協力にはどうすればいいのか? 下記のポイントが重要です。

  • 自分が把握した状況と、自分の意見を「適切に」伝える
  • 決まった方針には従う
  • 自分が与えられた役割をちゃんとこなす

 

「状況や意見を適切に伝える」というのは、分かっているようでいて案外難しいものです。否定的な見解では意図が伝わらないことがありますし、感情的な議論になって生産的なやり取りが阻害される可能性もあります。かと言って、必要な情報や意見を伝えなければ、リーダーが判断を誤ってしまうこともあります。

うまく意見を伝えるポイントは、事実と主観をちゃんと分けて、否定的な形ではなく生産的な形で対策として伝えることです。例えば、「◯◯ではダメだ」ではなく、「◯◯ではこうなってうまくいかないと思うので、△△のようにするといいと思う」というように伝えるのです。

こうしてそれぞれの立場で情報や適切な選択肢をリーダーに集めることで、チーム全体が適切な方向に進めるようにできるのです。

 

また話し合って全体の方向性を決めたら、自分個人の見解とズレていても、その方針にはちゃんと従うことも非常に重要です。決まった方針について裏でいつまでも文句を言ったり、方針に従わず仕事をしない人がよくいますが、それはチーム全体に対するサボタージュ(意図的な破壊活動)なので、リーダーやメンバーから排除の対象とされてしまうことがあります。

仲間やリーダーの背中を後ろから刺したり、足を引っ張る人が一人でもいると、チームは機能しません。そうした行動を許容しないこともとても重要なポイントです。

 

リーダーが全体を判断して、メンバーは情報と意見を渡しつつ役割を果たす。そして、リーダーを抱える企業は彼ら彼女らが動きやすいように調整を行う。これができれば、良いリーダーの元で大きな目標を追い求めるチームを作っていくことができるのです。

 

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Masayoshi Hashimoto

「フロントライン通信」編集長。業務経験は15年を超え、メディアサイトから数千万人規模の会員システムまで、10社で80件以上のプロジェクトのマネジメントを実施。2011年にスタートアップを立ち上げ、多くの人がプロジェクトをより成功できるためのツール「マンモスプロジェクト(Mammoth Project)」を開発。世界中の現場で戦うチームを応援することを人生の使命とする。

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