「だから女は〜」と言わないマネジメントの方法

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ネットを眺めていたら、下記の記事がはてなブックマークで炎上していました。

女性に読んでほしくない女性のマネジメントについて|片切真人|note

はてなブックマーク – 女性に読んでほしくない女性のマネジメントについて|片切真人|note 

 

この記事の内容の是非についてはここでは論じませんが(今見たら記事が消えていたので、はてブのほうで内容を察してください)、性別によるマネジメントの違いについては、ほとんど公にディスカッションされることがなく、どうすればいいのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

普段の仕事の場では口には出さなくても、飲みの場などで男性の偉いマネージャーが女性の部下について「女は感情的でやりにくい」などと語っていたり、採用の場で非公式に「このポジションは女性はナシで」などと言われたりすることもあります。また、女性の上司に対して偏見をぶつける男性の部下も見かけます。

また逆に、女性であることを周囲が過剰に意識して扱う(いわゆる「姫」や「お局様」状態になる)こともあります。

 

それでもIT業界は他の産業と比べて比較的男女の垣根が低く、プロジェクトの現場で性別を超えてうまくやっていかなければいけない状況がよくあります。しかし、上記のような偏見に満ちた現状があるため、うまくワークしている現場は残念ながら多くはありません。

私は10社で80件以上のプロジェクトをマネジメントしてきて、延べで言うとおそらく300人以上は女性のメンバーと仕事をしてきましたが、その中で「女性だから」うまくいかなかった例というのはゼロ、皆無です。

 

では、どうやったら男女でうまくプロジェクトの現場を回せるのか? そのコツをお伝えします。

 

 

目次

  • 日本の競争力が低いのは、男女がうまく協力できていないから
  • 「だから女は〜」と言わないマネジメントの方法(感情と月経前症候群をどう理解するか)

 

日本の競争力が低いのは、男女がうまく協力できていないから

男女雇用機会均等法が1972年に制定されてからもう半世紀近くも経ちますが、未だに日本では男女の給与格差がほとんど縮まっていないというデータがあります。

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女性の年収、低すぎ? 日本はこの30年、男女の格差が埋まっていない【データ】 http://www.huffingtonpost.jp/2014/05/06/woman-in-japan_n_5274351.html

 

また、上級管理職や国会議員など、組織や国の方針を決める役割の人がほとんど男性で、先進国でも特に低い割合となっています。

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みずほ情報総研:ダイバーシティ・マネジメントによる社会変革 ―ダイバーシティは格差是正を超えて新たな企業価値創造のトリガーとなりうるか http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/report/2011/mhir01_dsm.html

 

ビジネスにおける男女格差の話をすると、「女は感情的でマネジメントに向いていない」とか「女はタフな現場では仕事ができない」という偏見を持ち出してくる男性がよくいますが、それだと日本の組織の生産性が極めて低いことや、国際競争力が大きく低下していることの説明にはなりません。

日本の組織の生産性が低いのは、労働の柔軟性や多様性が低いからだと言われており、実際にプロジェクトではいろんな専門性や立場を持っている人がツッコミを入れることが重要です。

 

例えば、少し前に盛り上がった「ダサピンク問題」、つまり「女性向けの商品はピンク色にしておけばいいだろう」という安易な製品開発は、そのプロジェクトに女性がいたり、意思決定プロセスに女性の意見が適切に取り入られていれば起こらない問題でしょう。

また、ルミネブレンディのCMのように、わざわざ企業がお金をかけて女性を差別的に捉えたものを公開して多くの人から不評を買ってしまったケースも、意思決定プロセスに適切な判断ができる女性がいれば起こらなかった問題かもしれません。

男女格差の話をすると、道徳的な「タテマエ」の話だと理解する男性は多いですが、そうではなく、マネジメントにおいては実践的なビジネスの課題であるということをちゃんと認識するのが重要です。

「人口(つまり顧客)の半分は女性である」ということを忘れてはいけません。

 

 

「だから女は〜」と言わないマネジメントの方法(感情と月経前症候群をどう理解するか)

上記で触れたような女性に対する偏見は、どこの組織に行ってもありますし、口に出されなくても思っている男性は多いというのが実情です(社会的なデータにそれが表れています)。しかし、実際に個別のケースを見ていくと、性別が「実務上の問題」となっているケースはほとんど見たことがありません。

例えば、よくあるのが「面談で泣いてしまったので女性は感情的で使いものにならない」という例ですが、仕事の場で泣いてしまうこと自体はホルモンの作用など生理的な仕組みの違いによって、確かに男女で差異が見られますが、だからと言ってそれが実際の業務のパフォーマンスと結びついているかというと、それは「人による」としか言いようが無いのが現実ではないでしょうか。

そもそも仕事の現場で怒鳴ったり人格批判をするような人はマネジメントスキルの点で大きな問題がありますが、同じようなコミュニケーションを行ったとして、多くの男性は泣かなくても大きくモチベーションを下げてしまうのはおそらく女性と変わらないでしょう。

つまり、雑なコミュニケーションをする男性マネージャーは、単に同性は不満を表明しないのでモチベーション低下に気づいてないだけ、というケースがほとんどなのではないでしょうか。

 

また、男性中心のハードな職場でよくあるのは、「女性は生理周期があるので使いづらい」みたいな話です。確かにPMS(月経前症候群)は個人差が大きく、ひどい人は気分にムラがあって接しづらい雰囲気になったり、休んでしまう人もいます。

しかし、これもフラットに見てみれば、男性でも気分にムラがあったり、勤怠やアウトプットが安定していない人というのはいくらでもいます(むしろ男性の場合は話しづらい人は常に話しづらかったり、サボり癖がある人はとても狡猾だったりするので、逆に対応が難しかったりもします)。

PMS はピルや漢方薬などでコントロールできますし(子宮内膜症の予防的措置としても有効です)、業務上のアウトプットが事前にコントロールできていれば「実務上の問題」には繋がらないのです。実際に、仕事で大きなパフォーマンスを上げている女性はこうした対応を自分で行っています。

また、連日連夜サービス残業を山ほどしないと達成できない業務は、そもそも業務設計自体が間違っているので、それは経営者やマネージャーに責任があります。

 

つまり、ある個人が女性であるというだけで、問題があると「だから女は〜」みたいな話になりますが、色眼鏡を外して個人としてフラットに見れば、男性でも感情的であったり、女性でも業務上のアウトプットが安定している例というのはいくらでもあるのです。

異性のマネジメントで重要なのは、「男だから」や「女だから」と本人にはどうしようもない生まれ持った性質で能力を決めつけるのではなく、個人として敬意を持って接することです。

それが出来ていれば、相手も個人として接するようになるので、業務上のコミュニケーションも伝わりやすくなり、行き違いがあったときに「セクハラだ!」などと言われなくて済むのです。

(まだまだ割合は少ないですが、女性のマネージャーが男性の部下に対してうまくいっていないケースもあり、そうした場合はマネージャー側が男性に対して偏見を持って接していることがほとんどです。)

 

マネジメントの基本は「人の性格を好き嫌いでジャッジせずアウトプットで判断すること」ですが、それは異性のマネジメントでも同じことが言えるのです。

 

Masayoshi Hashimoto

「フロントライン通信」編集長。業務経験は15年を超え、メディアサイトから数千万人規模の会員システムまで、10社で80件以上のプロジェクトのマネジメントを実施。2011年にスタートアップを立ち上げ、多くの人がプロジェクトをより成功できるためのツール「マンモスプロジェクト(Mammoth Project)」を開発。世界中の現場で戦うチームを応援することを人生の使命とする。

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