旅もプロジェクトも最初は不安なもの – 連載「プロジェクトとはRPGである」ep.4


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前回の記事で、主人公ピーターとスティーブは初めての仲間となるリズを得ることができました。いよいよパーティーを組んで旅立つところです。

「挑戦は良いことだ」と人は言いますが、プロジェクトでも起業でも、旅立ちは心細いものです。

今回のテーマはその「旅立ち」です。

 

目次

  • プロジェクトや起業は「持っているものを捨てること」
  • 不安でも見守ってくれている人のことを忘れずに
  • 持っているものは最大限に活かそう

 

 

プロジェクトや起業は「持っているものを捨てること」

新しくプロジェクトや起業をするということは、それまで持っていた環境やステータスを捨てることでもあります。

新規のプロジェクトを立ち上げるということは、それまでやっていた業務に伴う社内評価を一旦は失うということですし、起業するということはそれまで得られた肩書きや給与、恵まれた会社の環境を失うということです。

これをRPGに例えてみると、「それまでレベル30だった戦士が転職してレベル1の勇者になる」というような感じです。

もちろん、全く異業種でプロジェクトや起業を始めるのでなければ、それまで得たスキルは活かせますが、環境面を含めた「できること」の量が全く変わってくるのです。

 

その変化のインパクトは実際にやってみると想像以上のもので、例えば起業の場合は、それまで当たり前に感じていたオフィスやたくさんの同僚、会社の設備、会社員であることの社会的信用がいかに貴重なものだったかに気づきます。

起業直後は収入が全く無いか不安定な上にお金はどんどん出ていき、コピー1枚のコストにも神経を使うようになります。人件費、外注費、経費、社会保険、税金…などいろいろ考えていくと、「ああ、自分がサラリーマンをやっていた企業はなんて偉大だったんだろう」と実感するのです。社会的信用も減って、借りられるマンションのグレードも大きく下がったりします。

 

新規でプロジェクトを立ち上げた時も、成功と失敗はそれまでやってきたこととは別で評価されるので、自分の過去の業績や評価に甘えることができません。プロジェクトチームとして社内で集まって仕事をするようになると、社内の風景もそれまでとは違って見えるようになりますし、社内の人からも「あの人はあのプロジェクトの人」という風に見るようになります。

新規事業の場合は成果が出るまでに年単位で時間がかかり、予算や人事評価もプロジェクトに連動しがちです。新規事業を成功させるために物凄く頑張っていても「お前のプロジェクト、まだこれだけしか成功してないのに待遇なんて上げられるわけないだろう」と言われることもあります(新規事業担当の離職率が高いのはこのあたりに問題があるケースが多いです)。

 

多くの人が冒険的なプロジェクトや起業を望んでいても実行しないのは、このあたりのギャップを直感的によく知っていて、それが怖いからだったりします。

欧米では「スタートアップをやるときには信念が重要だ」とよく言われますが、やはりこの辺りの不安を振り払って、持っているものを捨てて、そして実際に訪れる数々の問題に対処するには、「なぜ自分がそれをやるのか」という信念を持ち続けることが大事なのです。

 

 

不安でも見守ってくれている人のことを忘れずに

起業やプロジェクトに取りかかると、「本当にうまく行くだろうか」という不安に駆られることがしばしばあります。実際、最初はジェットコースターのように変化が訪れるので、周りがよく見えなくなってしまうのです。

 

しかし、アイディアや計画を話してきた人や自分を昔からよく知っている人は、そんな状態で新しい挑戦に挑む人を心では応援してくれていたりします。彼ら彼女らは声をかけてくれたり、できる範囲でのサポートをしてくれるのです。

例えば、スタートアップの起業当初に小額でも出資してくれる人のおかげで船出をすることができたり、プロジェクトの最初でちょっとしたアドバイスをくれたことで良いスタートが切れたりするといった形です。

スタートアップでもプロジェクトでも、最初はリソース(お金)の減少による焦りと「何をやるか」がまだ明確に見えないことが合わさってモヤモヤする時期ですので、そういった応援がすごく貴重なものになるのです。

応援してくれた時にはその価値に気づかなくても、後で必ずそれに気づくので、自分を応援してくれる人には常に感謝の気持ちを忘れないようにしましょう

 

 

持っているものは最大限に活かそう

起業もプロジェクトも、「まだ世の中に存在しないもの」を作るという意味では非常に大きな挑戦です。言わばゼロから物事を生み出すわけなので、想像以上に大変な試行錯誤が待っています(起業やプロジェクトが簡単なら、みんな大富豪になっているでしょう)。

そうした試行錯誤をやり抜くには、持っているものは全て駆使する、ぐらいの心構えが重要です。

 

自分の能力、人脈、肩書き、社会的ポジション、貯金、クレジットカード(起業の場合)、その他何でも使うぐらいの用意を心の中でしておくことが大事です。

社内でプロジェクトを始める時も、「その人が何をやってきたか」というのは社内の多くの人が知っていて、良いプロジェクトメンバーを集められるかや、予算の配分、他部署が協力してくれるかどうかなどは、そうした評価や評判の部分で大きく変わってきます。

 

またスタートアップの場合、日本人は借金や他人や身内からの出資を嫌う傾向がありますが、欧米では最初に親や友人、親戚から出資してもらって大成功したというケースもしばしば見られます。

(もちろん、出資を受ける場合はちゃんと事業計画を話してリスクについて合意の上で契約を行い、株式を発行するという形になるので、そのあたりは本などを読んで勉強しておく必要があります。)

 

つまり、自分が積み上げてきたものや持っているものが大きくプロジェクトや起業の成功に関わってくるので、そうした部分を意識しておくことがとても重要です。

持っているものは何でも使う、その代わり確実に成功させる。その心意気が大事です。

 

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Masayoshi Hashimoto

「フロントライン通信」編集長。業務経験は15年を超え、メディアサイトから数千万人規模の会員システムまで、10社で80件以上のプロジェクトのマネジメントを実施。2011年にスタートアップを立ち上げ、多くの人がプロジェクトをより成功できるためのツール「マンモスプロジェクト(Mammoth Project)」を開発。世界中の現場で戦うチームを応援することを人生の使命とする。

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