プロジェクトが妨害されたときの「ケンカの作法」とは

shutterstock_180150428

 

最近、ある知人から「プロジェクトで別の部署の偉い人から妨害されていて…」という相談を受けました。

私はプロジェクトをやる時にメンバーにプレッシャーをかけたり、物事をゴリ押ししたりなどのストロングスタイルの手法は使わないのですが、時にはプロジェクトのためにどうしても戦わなければならないことがあります。

(常に権力やプレッシャーに頼るリーダーはそれだけで自分に必要なマネジメントスキルがないことを証明しているようなものです。)

 

例え誰にどんな妨害をされようとも、プロジェクトリーダーの使命は「プロジェクトを成功させること」なので、後で「あいつが悪いんだ」と言い訳をしても、プロジェクトが失敗すれば自分の責任です。そして、世の中にはいろんな人がいるので、「関係者全員が協力的で人格的にも素晴らしい」というケースは稀なのが現実です。

つまり、プロジェクトの妨害はよくあることなのですが、その対処法はあまり世の中的には認識されていません。

そして、プロジェクトの妨害が横行してしまうと、結果として「妨害をやったもん勝ちで組織の生産性や効率性がどんどん低下する」や「誰も新しいことにチャレンジしない組織風土になってしまう」という企業になってしまいます。

 

戦わなければプロジェクトが失敗してしまう、そういうときはどうすればいいか?

そうしたケンカに勝てる秘訣をお知らせします。

 

 

目次

  • 基本スタンスは「専守防衛」
  • 社内政治とプロジェクトの成功は切り離す
  • ケンカの基本は「情報公開」

 

 

基本は「専守防衛」

リーダーにとって、プロジェクトの妨害になるのは主に下記の2パターンです。

  • メンバーのサボタージュ(やっているフリをして仕事を進めないこと)
  • プロジェクト外部のキーパーソンの意図的な妨害

 

自分がプロジェクトの人事権を持っている場合は、プロジェクトの遅延や失敗に繋がる行動をするメンバーは単純に除外すればいいのですが、メンバーの除外は他のメンバーのモチベーションに繋がりますし、社内的な評価にも影響するでしょう。

「あいつは気に入らないメンバーがいるとすぐに首を切る」とか、「彼は鬼リーダーで潰されるから有望な若手は渡せないな」と思われたら、今後の仕事にも影響するでしょう。

また、受託などで外部からプロジェクトにリーダーとして参加している場合は、なかなか単純な力技でメンバー変更などをすることもできないので、例えプロジェクトメンバーによる妨害でも対応は実はそう簡単ではありません(働かないメンバーが外部協力会社から派遣されていたりすると、「ちゃんとした理由」が必要になります)。

 

そしてさらに難しいのが、プロジェクト外部のキーパーソンが意図的に妨害してくるケースです。こうした場合、妨害してくるキーバーソンは社内の別の部署の偉い人だったりします。相手は確実にプロジェクトの失敗を狙っており、それによって自身の社内評価を相対的に上げようとしてきます。相手よりも自分のほうが組織的な立場が下であるパターンも多々あり、この対処は非常に難しい例だと言えるでしょう。

 

しかし、メンバーも外部のキーパーソンも、実は「厄介な人をプロジェクトから切り離す」あるいは「ちゃんと協力してくれるように心を入れ替えてもらう」という目的は同じなのです。

何のためにケンカするかというと、プロジェクトを成功させるためにケンカするのであって、「誰それが嫌いだから」とか「プロジェクトが気に入らないから」という好き嫌いで戦ってはいけません。

基本的にはプロジェクトの関係者を信頼して、うまくいかないところはコミュニケーションで解決しつつ、それでも「あれ、おかしいぞ、これは妨害されている」と分かった時点でその原因の排除を行うという「専守防衛」の姿勢がとても重要です。

 

 

社内政治とプロジェクトの成功は切り離す

どこの会社でも様々な人間模様があり、そこに社内政治があります。一見無機質に見えるIT企業でもそれは同じです。

いろんな社内政治を見ていると、結局は人間的な好き嫌いや相性という、すごく生物的で感覚的なところで決まっているのが分かります(会社によっては学閥があったりしますが、それも「相手に感情移入できるか」という感覚的な部分です)。

 

社内政治は人が一つの組織で生き残ってキャリアを築いていくには必要なことですが、それは仕事の中身であるプロジェクトとは切り離して考えることがとても重要です。

プロジェクトは「様々な”やるべきこと”を組織の中で練りあげて合意して、限りのある資源を使って目的を達成するという営み」なので、リーダーが自分の立身出世のことだけを考えていると、とてもうまく行きません。

 

「ある社内プロジェクトがどう重要なのか」、「そもそもプロジェクトとはどういうものなのか」という理解は同じ会社内でも人によってマチマチですが、社内政治はどこの世界にもあるので、誰かがケンカしていると、「また社内政治の派閥の揉め事か」と思われるのがオチです。

なので、自分の主張や姿勢の部分で「自分はプロジェクトの成功を重視しているのです」という部分が明確にないと、ケンカ両成敗で終わってしまいます。

好き嫌いや社内勢力のことは置いておいて「問題解決のために戦う」、この姿勢が極めて重要です。

 

 

ケンカの基本は「情報公開」と「上に持っていく」こと

さて、具体的なケンカの方法はどうなのかというと、下記の2つの原則がポイントです。

  • プロジェクトの情報を公開する
  • 上に持っていく

 

一番大事なのは、「プロジェクトの情報を公開する」ことです。

たまたまネットで「家事育児を「やっているつもり」の旦那へ見せた執念の分担図 | ママスタセレクト 」という記事を見かけました。

非常に素晴らしい記事なので、同じような問題で困っている方はぜひ読んでみていただきたいのですが、要は「妻が子育てに必要な仕事の大半をやっていて、その偏りが不満だったので、仕事の偏りを図にして説明した」という内容です。

 

家事育児を「やっているつもり」の旦那へ見せた執念の分担図 | ママスタセレクト http://select.mamastar.jp/2016/02/07/90918/

 

つまり、こうした形でプロジェクトやタスクの情報を共有すればいいのです。

例えば、下記はマンモスチームワークという弊社のサービスを使ってプロジェクトの全体像を図にしたものですが、赤丸のタスクが進まないとプロジェクトが進まない、ということは事実として誰の目にも明らかです。

 

projectmap_fighting

こうした形で「誰のどのタスクがどうプロジェクトにとって重要で、そこが進んでいないことが大きな問題だ」と訴えることがとても重要なのです(タスクの関連性だけでなく、実際の稼働の量などを示すことでも表現は可能です)。

こうしたものを見せることで、妨害していた人が(上の子育ての分担の例のように)心を改めてくれることもありますし、問題を理解した人事権を持っている人がサクッと人を入れ替えてくれることもあります。

また、一度こうした形で社内政治による妨害をクリアすると、「あいつを敵に回すとまずい」という認識が広がって、よりプロジェクトをやりやすくなったりします。

 

もし、直属の上司や親会社の担当者から理解を得られなければ、同じ説明をもっと上に持っていけばいいのです。

普通の会社なら、どこかの段階で「こいつは自分の出世じゃなくてプロジェクトのことを一生懸命考えているんだな」と理解してくれる人がいるものです。

最悪の場合、社長まで持っていく必要があることもありますが、そこまで行っても解決する見込みが無い場合は、やれることだけをやって転職しましょう(笑)。

 

世の中にはプロジェクトの重要性をよく理解していて、そのために必要な体制や調整ができる企業はたくさんあるのですから。

 

Masayoshi Hashimoto

「フロントライン通信」編集長。業務経験は15年を超え、メディアサイトから数千万人規模の会員システムまで、10社で80件以上のプロジェクトのマネジメントを実施。2011年にスタートアップを立ち上げ、多くの人がプロジェクトをより成功できるためのツール「マンモスプロジェクト(Mammoth Project)」を開発。世界中の現場で戦うチームを応援することを人生の使命とする。

You may also like...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。