「誰が仕事ができるのか?」という問題のたった1つのシンプルな答え

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仕事しながらネット眺めていたら、こんな記事を見かけました。

 

「仕事の遅い人」が読むだけで絶対に仕事が早くなる方法 – さようなら、憂鬱な木曜日

 

「仕事が早い/遅い」とか、「仕事ができる/できない」という話はプロジェクトをやっているといつも出てくる問題で、プロジェクトマネージャーとかリーダーが集まると割とそういう話になりがちです。

私自身は80件以上のプロジェクトやっていて、たぶんプロジェクトに関わった人は優に 1,000人を超えていると思いますので、このへんの話にはかなり明確な答えを持っています。プロジェクトにおいて「仕事ができるできない」は、下記の一言に集約されます。

 

・仕事の見積りが正確かどうか

 

これに尽きます。自分がやらなければならない仕事を、与えられた時間とリソースで成し遂げられるかどうか。本当にこれだけなんです。

よく、「こんな量のコードを数日で書いた」とか「あのビックプロジェクトでキーメンバーとして仕事をこなした」とか、「あの人の会議のツッコミはキレキレだ」とか、人はいろんなことを言うのですが、プロジェクトを率いる立場としてはそんなの関係ないんですね。

 

プロジェクトのリーダーをやるということは、数人から数十人(もっと多い場合もありますが)のメンバーで1つの目的を成し遂げるということで、それはつまり「スキルも経歴もマチマチの生身の人間と、こなさなければならないタスクを組み合わせてプロジェクトを計画して実行して成功させる」ということです。

そこでは個々の人間のスキルや経験はプロジェクトという全体の1つの変数に過ぎないのであって、ハリウッド映画の主人公がバッタバッタとザコをなぎ倒すような世界とは全く違います。例えどんなにエクセレントな実装があったとしても、プロジェクト全体が失敗すれば、それは全て敗北なのです。

 

例えば、下記の4人のメンバーがいたとします。プロジェクトリーダーとして信頼できるのは誰でしょうか。

 

  1. 経歴10年のフルスタックエンジニア。技術ブログも書いて講演をやっていて、業界ではモテモテ。年収は1500万円。ただし、イベントに呼ばれたりすることも多く、会社にはあまりいないし、5つのプロジェクトをアサインされている。
  2. 経歴3年目のエンジニア。年収は400万円。特筆すべき技術は持っていないが、真面目で与えられた仕事はちゃんとこなそうと努力する。できないことはできないと言える強さも持っている。新しい技術が好きで、自分でサービスを作ったりもしている。プロジェクト専任。
  3. 経歴5年目のエンジニア。年収は600万円。JAVA の知識と技術は凄いが、新しい言語やフレームワークを学ぶのは苦手。社内で一目置かれているので、発言には重みがあるが、基本的に企画側のアイディアに否定から入ることが多い。プロジェクトは2つ掛け持ち。勤怠も不安定。
  4. 経歴7年目のコンサルタント。中途採用で年収は1200万円。誰でも知っている会社で数々のビッグプロジェクトを手がけてきたと言って鳴り物入りで入社してきた。会議でも凄いアイディアを連発している。この会社のプロジェクトは初参加。専任。

 

こういう組み合わせは実によくあるのですが(笑)、多くの人は 1→4→3→2 の順番で評価しがちです。

上に答えを書いているのでお分かりかもしれませんが、私がこの4人でプロジェクトをやることになったら、クリティカルパス(タスクの遅れがプロジェクト全体の遅れにつながる流れ)となる重要なタスクはできるだけ2番のエンジニアに寄せるでしょう。

 

確かに、1番のエンジニアは2番のエンジニアの10倍の速さで実装を片づけるかもしれませんが、彼にはこのプロジェクトを成功させる個人的な動機がありません。このプロジェクトが失敗しても、彼の名声や業績には全く傷が付かないでしょう。つまり、彼の「約束」はアテにはならないのです。

 

個人のスキルや経験は、確かに個々のタスクをこなす際には非常に重要なのですが、プロジェクトは全体を組み合わせて進めるものなので、それらが予定通りに終わらないと非常に大きな問題を起こします。

本人は仕事ができるのに、予定通りタスクが終わらない、こういうのが一番リーダーとしては対応に困るのです。

 

日本ではテスト偏重教育のせいか、仕事でも個人の能力で語る傾向が強く、多くの人は「Aというタスクを誰がどれだけ早くこなせるか」という点に議論を集中させがちですが、プロジェクトリーダーにとってはそのスピードにバラつきがあるのは当然のことなので、その早さが「予測できるか」が重要になるのです。

 

もしあなたがプロジェクトのリーダーになったとき、誰が一番仕事として信頼できるかを知りたければ、簡単な仕事でいいので1つの仕事をアサインして、「このタスク、いつまでに終わりますか?」と訊いてみましょう

その見積りと、実際に完了した期間のズレが小さければ小さいほど、その人は信用できます。

 

Masayoshi Hashimoto

「フロントライン通信」編集長。業務経験は15年を超え、メディアサイトから数千万人規模の会員システムまで、10社で80件以上のプロジェクトのマネジメントを実施。2011年にスタートアップを立ち上げ、多くの人がプロジェクトをより成功できるためのツール「マンモスプロジェクト(Mammoth Project)」を開発。世界中の現場で戦うチームを応援することを人生の使命とする。

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