「2016年は起業しよう!」と思ったら考えておいたほうがいいこと

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明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 

さて、スタートアップを始めて5周年に突入しまして、結構いろんな人から「起業しようと思うんですけど」とか「起業したばかりなのでいろいろ教えてください」と相談されることがあります。

起業というのは知らない道をいきなりマラソンで走り始めるようなもので、ただ走るだけでもしんどいのに、コースの起伏や排ガスや道路事情などのことも考えていかないと良いタイムを出せなかったりします。

走り始めたら、一定の成果を出せないと途中で脱落することになりますが、もし誰かから事前に「コース取り」を教えてもらうなどしていれば、ペース配分や「どこで勝負を賭けるか」なども考えることができます。

 

「とりあえず走り始める」というやり方もあるにはあるのですが、下手すると「自分のビジネス」を見つけるまでに時間がかかって終了してしまいます。

 

というわけで、今回は「起業したい人は事前に考えておいたほうがいいこと」をご紹介します。

 

目次

 

個人で始めるか仲間と大きくするか

一言で「起業」と言っても、そのスタイルは実に様々です。IT業界で言うと、会社を辞めてフリーランスで仕事を請け負うのも起業ですし、他の企業からシステム開発などを受託するのも起業、自社サービスを作って勝負するのも起業です。

 

起業の際は個人事業か、法人(株式会社またはLLC)かという3つの選択肢があります。

個人事業でやるか法人化するかは、税制との兼ね合い会社を大きくするかで決めると良いでしょう。

例えば、「個人で他の企業から案件を受託して少しずつ事業を大きくしよう」という場合は、消費税がかかる手前のタイミングで法人化するとか、あるいは「最初からスタートアップとして10年以内に上場を目指すぞ」という場合は最初から株式会社として始める、といった感じです。

個人事業でやる場合は税務署に開業届を出しておけば、控除額が優遇された青色申告を行うことができます。

 

株式会社は出資の比率で利益配分が決まりますが、LLC は内部で自由に利益分配をすることができます

もし日本で事業拡大のスピードを上げるために出資を第三者から受けたい場合は最初から株式会社にしておくと良いでしょう。

法人を設立するには、行政書士や専門のサービスがありますので、少しググッて調べれば問題無いでしょう。

 

株の分け方と創業者間契約

株式会社にした場合、ポイントになるのは株の分け方です。これは非常に重要な部分で、後から修正することが困難なので、『起業のファイナンス』などの本を読んでよく勉強するのをオススメします。

 

よくやりがちなのが、「3人で創業したので1/3ずつ株を持つ」みたいな決め方ですが、これは非常にまずいやり方だったりします。誰か1人でも抜けた時に、会社の意思決定権が大幅に減ってしまうからです。

会社の売買や社長交代が一般的なアメリカでは事情が違うようですが、日本では投資の際に、事業の安定性の観点から「上場までに創業社長が50%以上の株を保有していること」が好まれるため、将来上場するつもりなら、そのあたりを考えながら分配を決める必要があります。

 

また、「会社を大きくするつもりなのだけど、株は社長が100%持っていて一切誰にも分配していない」というケースもあります。この形だと創業メンバーの意欲が維持できず、途中でケンカ別れするパターンになりやすいので、こちらもあまりオススメできません。

会社が大きくなれば、社長は数億円数十億円あるいはそれ以上の資産を得ることができるのに、大きな負担を強いられる創業メンバーにも見返りがなく困難を乗り越えるやる気に繋がらないからです。

実際には社長が自社株を売ることはあまりできないのですが(売ると会社の業績が落ちるというサインになってしまうため)、一緒に困難を乗り越える創業メンバーには、上場や事業譲渡の際にちゃんと利益を得られるようにしたいものです。

 

また、日本ではあまり一般的ではないようですが、株を創業メンバーと分配したら、創業者間契約を作っておくことをオススメします。

起業した直後はみんな夢を見ているので気がつきませんが、しばらくすると毎日のように「現実」という困難に直面することになります。その中で「こんなはずじゃなかった」と言って会社を離れてしまうメンバーも出てくるのです(実際、私が個人的に見てきたスタートアップの約9割ぐらいは「仲間割れ」で解散しており、それぐらいよくあることなのです)。

 

そして、この時に問題になるのが「離れるメンバーの株をどうするか」です。その扱いを最初から決めておくことが大事なのです(創業者間契約があればよかった、という話は個人的にも経験があるので作っておくことを強力にオススメします)。

 

「自分が戦うフィールド」を知ろう

最近は少し落ち着いた感じがありますが、日本では「起業ブーム」みたいなものがあります。

起業と言っても、上に書いたように個人事業と株式会社、LLC ではかなりやることが違いますし、また株式会社でも「どういうビジネスをやるか」でリスクやノウハウが大きく変わります。

 

ブームに煽られてなんとなく「カッコいい」みたいなもので続くほどビジネスは甘くありません。

自分がどういうビジネスをやるのかをよく考えて、そのリスクとチャンスをよく知っておくことが大事です。

 

例えば、『最強の起業戦略 スタートアップで知っておくべき20の原則』という本によると、起業は下記の4パターンに分かれます(カッコ内は筆者補足)。

 

1.  改良型ベンチャー

適度の目新しさを示す型通りのビジネスの設立と管理(既にあるビジネスを改良していくスタイル)

2. 革新型ベンチャー

イノベーションを基礎とするビジネスの創業と管理(まだ存在しない価値を提供するスタイル)

3. 模倣型ベンチャー

奇抜なビジネスやベンチャーの認識と模倣(アメリカなど他国や他業界で流行ったビジネスを模倣するスタイル)

4. 使用料追求型ベンチャー

既存企業の価値の一部を共有する標準、規制、法律を活用する起業の設立(セキュリティなど他の企業から求められるサービスを提供するスタイル)

 

例えば、改良型ベンチャーや模倣型ベンチャーのように既に「お手本」があるビジネスと、革新型ベンチャーのようにゼロから自分でビジネスを作る場合は、リスクとノウハウが全く違います。

なので、例えば「事業が安定するまでは受託をやるけど、落ち着いたら自社サービスで勝負するぞ」という場合は、「全く異なるノウハウのビジネスを一つの組織で続ける」ということになります。

この場合はスタートアップとしては長丁場になることが予想されますし、途中で大幅な組織的な転換が必要とされるため、それなりの戦略を考えていく必要があります。

 

また、それぞれのスタイルは組み合わせることもできるので、そこから自分と会社に合った戦略を編み出していくことも可能です。

いずれにせよ、自分がこれから取り組むゲームがポーカーなのか、ブラックジャックなのか、七並べなのかはよく理解しておく必要があります。

一旦自分のフィールドを決めたら、そこでより勝率を高めるために詳細な戦略を立てていけばいいのです。

 

事業計画はちゃんと立てよう

私がプロジェクトマネージャーとして好きな言葉に、第二次世界大戦アメリカ軍最高司令官 D. アイゼンハワーの「計画自体はいつも役に立たないが、計画を作ることは不可欠だ (In preparing for battle. I have always found that plans are useless, but planning is indispensable)」という言葉があります。

 

起業でも、状況がどんどん変化していくため計画はあっという間に陳腐化しますし、そんなものを作るぐらいなら事業に力を入れたい、という気持ちはとても良くわかります。

しかし、主に下記の観点での事業計画は必要不可欠なので、エクセルで簡単にちゃちゃっと作って適宜確認していくと良いでしょう。また、出資や融資を得る際にはこうした収支の計画が大きな説得材料になります。

 

  • 費用
    • 特に月々の固定費が重要
      • その費用は「投資」として機能しているか?をよく考える
  • 収益
    • 確定しているものから固めていって、目標とは分けて管理する
    • 特定のクライアントへの依存度が高い場合はそのリスクヘッジをどうするかをよく考える

 

なんだこれだけか、と思うかもしれませんが、これができていなくてピンチになって金策に奔走したり仲間内で揉めたりする人々はとても多いのです。

また、この辺りの計画を立てていくと、月々の固定費の恐ろしさに気づいて、倹約することを心がけるようになります(社長や幹部がお金の使い方を理解していない企業はすぐに傾きます)。

そして、経営の観点から人件費の大きさにも気づくので、自分がブラック企業の社長になりたくなければ、早期に事業に加わるメンバーには株の分配などを考えていく必要性にも気づくでしょう。

 

家族を味方につけよう

起業は会社員と比べると、やはりリスクの大きい選択です。毎月安定した給料をもらえること、これは何よりの精神安定に繋がります。

また逆に、安定した収入が得られないことのストレスはやったことがない人には理解できないほど大きなものです。

 

リスクを取るからには、より大きなリターンを得るためにやるわけですが、それには必ず紆余曲折があります。

そうした時に支えになるのは、事業の仲間と、やはり家族です。

 

家族には、自分がどういうことをやっているのか、どういうことを考えているのか、折を見てちゃんと共有するようにしましょう

ちゃんと説明をしていれば、思わぬフィードバックを得られたり、助けになってくれたりします。

 

日本はまだまだ起業発展途上国で、こうした初歩のアドバイスを経験者から体系的に得られる場が少なく、最初の大事なところでつまづいている人が結構多いようなのでシェアしました。

参考になる方がいれば幸いです。

 

もし個別で相談したい方がいたらボランティアでお受けしますので、お気軽に facebook までどうぞ。

 

Masayoshi Hashimoto

「フロントライン通信」編集長。業務経験は15年を超え、メディアサイトから数千万人規模の会員システムまで、10社で80件以上のプロジェクトのマネジメントを実施。2011年にスタートアップを立ち上げ、多くの人がプロジェクトをより成功できるためのツール「マンモスプロジェクト(Mammoth Project)」を開発。世界中の現場で戦うチームを応援することを人生の使命とする。

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